■宇宙から還りし王 第7回■宇宙から還りし王(山稜王改題)第7回(1978年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ 「ケインよ、お前はここに何をしにきた」 なぜ、こやつは私の名前を知っている。そう考えるケインにアゴ ルフォスは続けた。 「なぜ、我輩が、お前の名前を知っているのか悩んでいるな。ケイ ン、お前の名前を知っている以上に、我輩は色々な事を知っている」 「くそっ、お前は何だ」 「シャナナ宮殿にいたアゴルフォスさ。見ての通りだ。ただ、他の 奴らと我輩との相違点を言えば、我輩が、このシアリー壁から先の、 「守護人」という事だ」 そのアゴルフォスは、そう言うが早いか、ケインの方に突進してく る。 ケインは素早く、その体をさけようとする。が左肩に激痛が走る。 肩口がパックリさけている。 アゴルフォスは遠くの方から話しかける。 「ケインよ、我輩の「空気切りの技」から逃がれられるかな」 アゴルフォスの体は、植物がじゃまになって、はっきりとは見え ない。 そやつは再び、ケインに向かい走り出してくる。アゴルフォスの 武器は一体何なのだ。 空気切りだと、 あの短い手足のどこに武器を隠しているというのだ。 一瞬、アゴルフォスの体が目の前にあった。今度は先刻、リーフ ァー鳥にやられた右肩から出血していた。 下ばえの草を通して声が聞こえていた。ケインは声の方へ進む。 植物をかきわけながら。 岩の上にアゴルフォスは腰をかけている。 「ケイン、お前が過去にどんな事をしたか、お前に代わってしゃべ ってやろうか。それになぜここにきたかもな」 アゴルフォスはにやりと笑っている。 「やめろ、なぜ、お前は」 「なにゆえに、我輩が、お前の過去を知っているのか聞きたいか。 それは」 「アゴルフォスよ、やめるんだ」 その声は天空から響いてきた様にケインは思った。 (続く) ■宇宙から還りし王(山稜王改題) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ |